データサイエンティスト必須のスキルとは データ分析講座(その119)

更新日

投稿日

データ分析

◆ データサイエンティストとゆかいな仲間たち

 ビジネスの世界でデータサイエンスを実現するには、当然ながらデータサイエンティストは必須です。しかしデータサイエンティストだけで実現するのは無理のようです。ものすごいデータサイエンティストがいるのならば、もしかしたら可能かもしれませんが、多くの場合不可能です。よく見掛ける上手くいかないパターンは以下の通りになります。

  • 社外からデータサイエンティストだけを集める
  • 社内でデータサイエンティストだけを教育するプログラムを作る
  • データサイエンティストだけの組織を作る

 最悪なケースは、周辺に仲間も理解者もいない独りぼっち状態のデータサイエンティストです。では「データサイエンティストが複数いればいいのか」となりがちですがそうではありません。組織内で孤立しているのであれば、複数人が「ぼっち状態」になっているだけで、状況は同じです。今回は「データサイエンティストとゆかいな仲間たち」というお話しをします。

1、データサイエンスとデータサイエンティスト

 ビジネスの世界では「データとドメインを結びつける」のがデータサイエンスになります。ドメインとは、データ分析・活用する現場のことです。現場とは、経営の現場かもしれませんし、営業や生産の現場かもしれません。消費者視点では、お店やECサイトなどの買い物も購買行動の現場になります。そして、このデータとドメインを結びつける人財がデータサイエンティストになります。

2、さらにどのような人財が必要なのでしょうか

 データサイエンティストの必須スキルといわれいるのは「データサイエンス」「データエンジニアリング」「ビジネス力」の3つのスキルセットです。すべてプロ級に備えている人は、ほぼ皆無でしょう。多くの場合は、データサイエンスのスキルが尖っていて、残りはそこそこのレベルといった感じかと思います。そのため、高度なデータエンジニアリングのスキルを備えたデータエンジニアが必要なのです。ではデータエンジニア以外では、どのような人財が必要なのでしょうか。

 3つのスキルセットの内「データサイエンス」がデータサイエンティスト、「データエンジニアリング」はデータエンジニアとなると残りの「ビジネス力」の部分でプロ級の人財が必要になります。データサイエンスで成果を出したいのでしたら、プロ級のドメイン知識を持った人が必要になります。

3、ドメインをつなぐビジネスパーソン

 幸いなことに多くの場合、プロ級のドメイン知識を持った人は社内にいます。しかしその人達が全員、データサイエンスを分かっていたり理解を示すわけではありません。そのため、データサイエンティストとプロ級のドメイン知識を持った人との間をつなぐビジネスパーソンが必要になります。どうすればビジネスパーソンを育成することができるのでしょうか。それはそのドメインに属していた人が、データサイエンスの知識などを身に付けるのが、手っ取り早いでしょう。人によってはデータサイエンスの知識などを身に付けるだけでなく、データサイエンティストそのものになることもあります。

4、社内政治力を持つビジネスパーソン

 これで人財は十分かといえば、まだ不十分です。「ビジネス力」の部分で...

データ分析

◆ データサイエンティストとゆかいな仲間たち

 ビジネスの世界でデータサイエンスを実現するには、当然ながらデータサイエンティストは必須です。しかしデータサイエンティストだけで実現するのは無理のようです。ものすごいデータサイエンティストがいるのならば、もしかしたら可能かもしれませんが、多くの場合不可能です。よく見掛ける上手くいかないパターンは以下の通りになります。

  • 社外からデータサイエンティストだけを集める
  • 社内でデータサイエンティストだけを教育するプログラムを作る
  • データサイエンティストだけの組織を作る

 最悪なケースは、周辺に仲間も理解者もいない独りぼっち状態のデータサイエンティストです。では「データサイエンティストが複数いればいいのか」となりがちですがそうではありません。組織内で孤立しているのであれば、複数人が「ぼっち状態」になっているだけで、状況は同じです。今回は「データサイエンティストとゆかいな仲間たち」というお話しをします。

1、データサイエンスとデータサイエンティスト

 ビジネスの世界では「データとドメインを結びつける」のがデータサイエンスになります。ドメインとは、データ分析・活用する現場のことです。現場とは、経営の現場かもしれませんし、営業や生産の現場かもしれません。消費者視点では、お店やECサイトなどの買い物も購買行動の現場になります。そして、このデータとドメインを結びつける人財がデータサイエンティストになります。

2、さらにどのような人財が必要なのでしょうか

 データサイエンティストの必須スキルといわれいるのは「データサイエンス」「データエンジニアリング」「ビジネス力」の3つのスキルセットです。すべてプロ級に備えている人は、ほぼ皆無でしょう。多くの場合は、データサイエンスのスキルが尖っていて、残りはそこそこのレベルといった感じかと思います。そのため、高度なデータエンジニアリングのスキルを備えたデータエンジニアが必要なのです。ではデータエンジニア以外では、どのような人財が必要なのでしょうか。

 3つのスキルセットの内「データサイエンス」がデータサイエンティスト、「データエンジニアリング」はデータエンジニアとなると残りの「ビジネス力」の部分でプロ級の人財が必要になります。データサイエンスで成果を出したいのでしたら、プロ級のドメイン知識を持った人が必要になります。

3、ドメインをつなぐビジネスパーソン

 幸いなことに多くの場合、プロ級のドメイン知識を持った人は社内にいます。しかしその人達が全員、データサイエンスを分かっていたり理解を示すわけではありません。そのため、データサイエンティストとプロ級のドメイン知識を持った人との間をつなぐビジネスパーソンが必要になります。どうすればビジネスパーソンを育成することができるのでしょうか。それはそのドメインに属していた人が、データサイエンスの知識などを身に付けるのが、手っ取り早いでしょう。人によってはデータサイエンスの知識などを身に付けるだけでなく、データサイエンティストそのものになることもあります。

4、社内政治力を持つビジネスパーソン

 これで人財は十分かといえば、まだ不十分です。「ビジネス力」の部分で、もう一つ不足しているものがあります。それは社内政治力です。

 この力は日本の大企業ほど必要かもしれません。経営陣などのトップマネジメント層や周囲の部署の管理職へ働き掛けることの得意なビジネスパーソンが必要になります。「アホらしい」と感じる人もいるかもしれませんが、この「アホらしい」ことを疎かにしたがために、データサイエンスが上手く進まないことが多々あります。

5、社内IT専門家を仲介するビジネスパーソン

 データサイエンスを実現する時、既存のITシステムやクラウド上で、構築した数理モデルなどを実装することがあります。そのため情報システム部などの社内IT専門家も必要になります。データサイエンティストが、情報システム部など出身者ではない場合は、その間をつなぐビジネスパーソンが必要になります。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

高橋 威知郎

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)


「情報マネジメント一般」の他のキーワード解説記事

もっと見る
グラフを眺めただけの判断は要注意 データ分析講座(その156)

  ◆ 超簡略版「統計的仮説検定」  ある小売チェーンの例です。例えば、次のような状況はよくあります。 対前年比で売り上げはどうだ...

  ◆ 超簡略版「統計的仮説検定」  ある小売チェーンの例です。例えば、次のような状況はよくあります。 対前年比で売り上げはどうだ...


分析に求められる洞察力の基礎とは データ分析講座(その55)

◆ 目的無きデータ分析にも意味はある。遠回りかもしれないが、良いこともある  よくデータ分析するとき、目的を明確にせよ! と言います。正しいでしょう...

◆ 目的無きデータ分析にも意味はある。遠回りかもしれないが、良いこともある  よくデータ分析するとき、目的を明確にせよ! と言います。正しいでしょう...


テキストマイニング技術のビジネスへの応用とその効果(その3)

   前回のその2に続いて解説します。 (2) 社外情報  インターネット上に存在する数多(あまた)なブログや口コミサイトなどのCGM(C...

   前回のその2に続いて解説します。 (2) 社外情報  インターネット上に存在する数多(あまた)なブログや口コミサイトなどのCGM(C...


「情報マネジメント一般」の活用事例

もっと見る
‐販路開拓に関する問題 第1回‐  製品・技術開発力強化策の事例(その17)

 前回の事例その16に続いて解説します。開発が完了したから販売先を探す。そのような考え方で開発に従事することは根本的に間違っている事は既に述べました。開発...

 前回の事例その16に続いて解説します。開発が完了したから販売先を探す。そのような考え方で開発に従事することは根本的に間違っている事は既に述べました。開発...


生産スピード向上と品質管理

 電子メールやインターネットの普及により、ビジネスのグローバル化が大きく進みましたが、IT技術の進歩は、品質管理の方法も進歩させました。20数年前は製造条...

 電子メールやインターネットの普及により、ビジネスのグローバル化が大きく進みましたが、IT技術の進歩は、品質管理の方法も進歩させました。20数年前は製造条...


システムトラブル、誰に相談したら良いか

 最近は、以下のように情報システム開発にかかわるトラブルに悩まされる企業が急増しています。ところが、トラブルが起きた時に誰に相談したらいいかわからなくて困...

 最近は、以下のように情報システム開発にかかわるトラブルに悩まされる企業が急増しています。ところが、トラブルが起きた時に誰に相談したらいいかわからなくて困...