【この連載の前回:クリーン化について(その93)地震対策についてへのリンク】
今回は、クリーンルームで使う資材(クリーン資材)を解説します。クリーン資材は、防塵衣、防塵紙、筆記具、ワイパー、掃除用具、クリーンマットなどがありますが、選定のポイントを解説します。
1.防塵衣、フード、クリーンシューズ
防塵衣、フード、クリーンシューズは、使用するクリーンルームや作業によって、要求されるものは違ってきます。白ければ何でも良いというものではありません。
- 清浄度の高いクリーンルームでは、パーティクルの捕集効率の高いもの、クリーンルームの床が穴あきの場合、防塵衣内のゴミを床下まで落とすタイプにするか(クリーンルームの構造と、防塵衣の仕様をセットで考える)。
- 静電気の対応(導電糸が縦に入るタイプか、格子状に入るタイプか)
- 手作業がある場合は、防塵衣の袖が二重袖の方が良いか。
- 防塵衣とフードの一体型が良いか、分離タイプが良いか。
- クリーンシューズとソックスが一体型か、分離タイプか。
- 安全靴タイプのシューズは必要か。
- 防塵衣の色は? 作業者用、管理職用、メーカー用、来客用、業者用など使い分けるかどうか。 白、青、ピンク、黄色などがある。
2.防塵紙
- 使用例は、製品流動表、設備などの点検表、個人のメモなど、持ち込みが必要なものは防塵紙に印刷して持ち込む。
- 扱い方によっては発塵するので、清浄度の高いクリーンルームでは、電子化により、防塵紙の持ち込みは少ない。
- メモが必要な場合、クリーンノートがある。数種類のタイプがあるので、それを活用しても良い。
- 防塵紙の色は、薄水色、ピンク、黄色、グレーなどがある。品質関係、保全関係、その他など色によって使い分けしているところもある。
- 防塵紙は発塵することを意識し、持ち込みの制限、扱い方、廃棄の仕方などルールが必要。
3.筆記具、事務用品
- クリーンルームペン
ノック式のボールペン、シャープペンは発塵が多いので、持ち込みは避けたい。汚染等に敏感な製品加工工程では、持ち込まない方が良いが、持ち込みが必要な場合、インクの成分分析をしておきたい。余談だが、液漏れの可能性があるので、航空機の中には持ち込まない方が良い。製品の容器に、その旨記載してあるメーカーもある。
4.ワイパー
- ワイパーは、大きく分けて、化学繊維と不織布がある。どちらも長繊維です。
不織布は繊維が千切れやすく、発塵しやすいので、治具や製品等へは使わないようにしたい。化学繊維、例えばポリエステルが代表例だが、その他の繊維を混ぜるような加工をしているものもある。評価し、目的に合わせ、使い分けをしたい。これも防塵紙と同じで、端面から発塵する。
端面からの発塵を抑えるよう工夫されているが、切るとその部分が失われるので、発塵する。加工しないこと。製品品質に影響が懸念されるところ、例えば設備チャンバー内のクリーニング、真空ピンセットのクリーニング、製品容器などは、化学繊維を用いる。
作業台や設備のカバーなど、品質への影響が少ないところでは、不織布にするなど使い分けたい。大きさはさまざまだが、同じサイズでもメーカーによって、違いがある。不具合事例は次回にするが、評価して採用することが好ましい。
5.クリーンマット
- クリーンマットは、粘度、重ねの枚数、サイズ、色、台...
6.掃除用具
- クリーン雑巾、クリーンモップ、細かいものでは、綿棒などがある。
綿棒などは、クリーン資材メーカーから調達したい。市販品は、柔らかさ、肌触りなどを優先に作られているが、短繊維のものが多い。それらは繊維のゴミが出る。
- ハンディモップなど、静電気によってゴミ、埃を回収するタイプは、静電気の影響を受けるところでは使用しないこと。
半導体では、ウエハーが裁断され、チップになる工程以降は、静電気による品質低下が考えられる。技術、品質などの許可をもらうことが必要。
次回に続きます。