人財育成(その18) クリーン化について(その113)

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クリーン化

 

◆クリーン化を基礎から学ぶ

前回のクリーン化について(その112)人財育成(その17)続けて解説します。

 

物事で大切なのは基礎から始めることです。最近は、テレビ、パソコン、スマホなど情報はいつでもどこでも入手できます。ところが、心配なのは表面だけで情報を得た気になってしまうことです。これらの情報は、記事に注目してもらうために、インパクトのある見出し、書き出しになっているものが多いです。それらを見て、その後は自分の解釈になってしまうことが気になります。その背景には何があるのかきちんと理解しないのに、情報を得ただけで、“知っている”ということになっていないでしょうか。

 

または、“聞いている”と言うことで話が始まり、それぞれの解釈によって、正しい情報に様々な物が付加されて、先入観になったりするのです。それが自分の考えになってしまったりするのです。知ったつもりでいるので、途中から話が始まるのです。それで会話に入ってしまい、他の人と食い違いが出る場合が出てくるでしょう。

 

例えば、電話詐欺が非常に多いですが「そんなものに私は引っかからない」と言う人が多いです。でも引っかかってしまう人がいるのです。私の周囲でも高齢者がいます。テレビでは、警察の方などが駅前で呼びかけをしている場面も良く見ます。すると「テレビであれだけ言っているのに、引っかかる人がまだいるんだ。自分はそうならない。大丈夫だ」などと言います。

 

でも「アポ電に注意しましょう」と言う呼びかけもあります。アポ電とは何かを理解していないのに、それはどういうことかと聞くわけではありません。気にしていないとか、自分には関係ないことだなどと問題意識を持たないのでしょう。ほとんど聞き流しです。

 

“アポ電とは何か”をきちんと説明しないと、そして理解してもらわないと、呼びかけただけに終わってしまい、なかなか減らないのです。これも話の途中から会話が始まるのと同じです。もちろん聞き流しても良い情報が圧倒的に多いでしょうが、それぞれの立場で取捨選択し、必要なことは、ある程度把握しておく必要があります。このことは難しいことですが。

 

◆モノづくりと人材育成【連載記事紹介】

◆人材育成・組織・マネジメントの考察 【連載記事紹介】

◆やろうと思っているけど できないことばかりの克服【連載記事紹介】

 

1. クリーン化の基礎

クリーン化も同じです。基本を学んでから活動に入ることが重要です。

 

その基礎(土台)をしっかりした上で、工夫、応用して行きたいです。それこそが、自社独自のノウハウになると考えています。これは、初等教育をはじめ、どのようなことも同じです。四則計算がきちんとできないのに方程式を解いてみよう。基本がないのに応用問題を解いてみようと言うのと同じことです。途中で壁にぶつかっても、どの当たりまで戻れば良いのか判断できます。

 

それを、基礎がないのに「ゴミを減らす活動だ」と思って手当たり次第に着手しても、話の途中から入るのと同じで、何をすれば良いのかわからなくなってしまいます。こうなると、活動途中で迷子になってしまう訳です。そして曖昧なまま活動が消えていくのです。“基本に立ち返って”と言っても、その基本がないから、戻る場所がないのです。こうなると、またやり直すということが難しくなります。

 

私がものづくりに関わる多くの方にお話したいのは、一貫して“クリーン化の基礎”です。

 

長年現場を這いずり回り、指導をしてきた中で、早くからその重要性に気づきました。そしてこの基礎、基本が最も重要であることは、未だに変わりありません。早く普及させ来という思いがあります。

 

ここのところ、国内の半導体業界が活気づいてきました。北海道の千歳、九州の熊本、広島などです。これらは超スーパークリーンルームの中で製品製造が行われます。懸念されているのは、技術者、作業者の不足でしょう。ここにもクリーン化の基礎を保有した上で、クリーン化の応用が必要になると思います。

 

先進のクリーンルームで製造するのだから、良い物ができる(はず)、機械、設備がやるから、電子化、効率化が進んでいるから人はあまり関与しない、問題ない(はず)と言う考えがあると、様々な問題があっても対応できない、もしくは対応が遅れるでしょう。“はず”の繰り返し、積み重ねでできあがった基礎は軟弱な土台になってしまうでしょう。

 

製品の品質問題を分析したところ、日頃のクリーン化活動により、きちんとクリーンルームが管理されていれば、このような問題は起きなかった。そのために分析、解析の時間が取られてしまったと言うことも実際にあります。人不足なのに、初期的な問題に振り回され、本来の仕事ができない訳です。

 

今回の半導体企業の進出には、政府の支援、補助があります。逆に企業側からすれば、必ず成功しなければならないという環境でもあります。

 

2. クリーンルームの管理を知らない現場

今まで私が見てきたクリーンルームの多くは、清浄度が高いところではありません。でも、そのタイプのクリーンルームは、床面積では最も多いです。それらの多くは、クリーンルームにしたけれど、クリーンルームの管理を知らないと言う現場が多かったです。それらのクリーンルームで起きるQ(品質)C(コスト)D(納期)、S(安全)などの面で問題を沢山見てきました。

 

基礎、基本があればこのようなロスは避けられたのに、残念だと思ったことが多々ありました。これは、その企業の経営に直結することばかりです。そして、これらのロスは、SDGsに繋がるものが多いです。

 

半導体の例ですが、前工程(およそWFの投入から、WF状態での完成までを言う)では、清浄度の高いクリーンルームを採用していますが、後工程になるほどクリーンルームの清浄度は低くなります。その、後工程で品質問題によ...

クリーン化

 

◆クリーン化を基礎から学ぶ

前回のクリーン化について(その112)人財育成(その17)続けて解説します。

 

物事で大切なのは基礎から始めることです。最近は、テレビ、パソコン、スマホなど情報はいつでもどこでも入手できます。ところが、心配なのは表面だけで情報を得た気になってしまうことです。これらの情報は、記事に注目してもらうために、インパクトのある見出し、書き出しになっているものが多いです。それらを見て、その後は自分の解釈になってしまうことが気になります。その背景には何があるのかきちんと理解しないのに、情報を得ただけで、“知っている”ということになっていないでしょうか。

 

または、“聞いている”と言うことで話が始まり、それぞれの解釈によって、正しい情報に様々な物が付加されて、先入観になったりするのです。それが自分の考えになってしまったりするのです。知ったつもりでいるので、途中から話が始まるのです。それで会話に入ってしまい、他の人と食い違いが出る場合が出てくるでしょう。

 

例えば、電話詐欺が非常に多いですが「そんなものに私は引っかからない」と言う人が多いです。でも引っかかってしまう人がいるのです。私の周囲でも高齢者がいます。テレビでは、警察の方などが駅前で呼びかけをしている場面も良く見ます。すると「テレビであれだけ言っているのに、引っかかる人がまだいるんだ。自分はそうならない。大丈夫だ」などと言います。

 

でも「アポ電に注意しましょう」と言う呼びかけもあります。アポ電とは何かを理解していないのに、それはどういうことかと聞くわけではありません。気にしていないとか、自分には関係ないことだなどと問題意識を持たないのでしょう。ほとんど聞き流しです。

 

“アポ電とは何か”をきちんと説明しないと、そして理解してもらわないと、呼びかけただけに終わってしまい、なかなか減らないのです。これも話の途中から会話が始まるのと同じです。もちろん聞き流しても良い情報が圧倒的に多いでしょうが、それぞれの立場で取捨選択し、必要なことは、ある程度把握しておく必要があります。このことは難しいことですが。

 

◆モノづくりと人材育成【連載記事紹介】

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◆やろうと思っているけど できないことばかりの克服【連載記事紹介】

 

1. クリーン化の基礎

クリーン化も同じです。基本を学んでから活動に入ることが重要です。

 

その基礎(土台)をしっかりした上で、工夫、応用して行きたいです。それこそが、自社独自のノウハウになると考えています。これは、初等教育をはじめ、どのようなことも同じです。四則計算がきちんとできないのに方程式を解いてみよう。基本がないのに応用問題を解いてみようと言うのと同じことです。途中で壁にぶつかっても、どの当たりまで戻れば良いのか判断できます。

 

それを、基礎がないのに「ゴミを減らす活動だ」と思って手当たり次第に着手しても、話の途中から入るのと同じで、何をすれば良いのかわからなくなってしまいます。こうなると、活動途中で迷子になってしまう訳です。そして曖昧なまま活動が消えていくのです。“基本に立ち返って”と言っても、その基本がないから、戻る場所がないのです。こうなると、またやり直すということが難しくなります。

 

私がものづくりに関わる多くの方にお話したいのは、一貫して“クリーン化の基礎”です。

 

長年現場を這いずり回り、指導をしてきた中で、早くからその重要性に気づきました。そしてこの基礎、基本が最も重要であることは、未だに変わりありません。早く普及させ来という思いがあります。

 

ここのところ、国内の半導体業界が活気づいてきました。北海道の千歳、九州の熊本、広島などです。これらは超スーパークリーンルームの中で製品製造が行われます。懸念されているのは、技術者、作業者の不足でしょう。ここにもクリーン化の基礎を保有した上で、クリーン化の応用が必要になると思います。

 

先進のクリーンルームで製造するのだから、良い物ができる(はず)、機械、設備がやるから、電子化、効率化が進んでいるから人はあまり関与しない、問題ない(はず)と言う考えがあると、様々な問題があっても対応できない、もしくは対応が遅れるでしょう。“はず”の繰り返し、積み重ねでできあがった基礎は軟弱な土台になってしまうでしょう。

 

製品の品質問題を分析したところ、日頃のクリーン化活動により、きちんとクリーンルームが管理されていれば、このような問題は起きなかった。そのために分析、解析の時間が取られてしまったと言うことも実際にあります。人不足なのに、初期的な問題に振り回され、本来の仕事ができない訳です。

 

今回の半導体企業の進出には、政府の支援、補助があります。逆に企業側からすれば、必ず成功しなければならないという環境でもあります。

 

2. クリーンルームの管理を知らない現場

今まで私が見てきたクリーンルームの多くは、清浄度が高いところではありません。でも、そのタイプのクリーンルームは、床面積では最も多いです。それらの多くは、クリーンルームにしたけれど、クリーンルームの管理を知らないと言う現場が多かったです。それらのクリーンルームで起きるQ(品質)C(コスト)D(納期)、S(安全)などの面で問題を沢山見てきました。

 

基礎、基本があればこのようなロスは避けられたのに、残念だと思ったことが多々ありました。これは、その企業の経営に直結することばかりです。そして、これらのロスは、SDGsに繋がるものが多いです。

 

半導体の例ですが、前工程(およそWFの投入から、WF状態での完成までを言う)では、清浄度の高いクリーンルームを採用していますが、後工程になるほどクリーンルームの清浄度は低くなります。その、後工程で品質問題により不良、廃棄するものも出てきます。工程が進めば進むほど、付加価値が付くのに、その付加価値を沢山つけて捨てていくと言うことになります。これらは確実にQCDに影響します。内容、企業の規模によっては企業存続の問題にもなるでしょう。

 

その、後工程は、社内かあるいはその企業を中心としたサプライチェーンに当たる部分もあるでしょう。これらも含め、クリーン化の基礎をしっかり構築しておきたい。それはサプライチェーンのどの部分から始めるかもありますが、サプライチェーンに含まれる企業で、すでにクリーンルーム内で製品製造を行っているところは、早めに対応できますよね。用意周到と言うことです。

 

日本の半導体再興については、他の国からも注目されていますが、クリーン化をきちんと学んで、クリーンルームの能力を最大限生かした生産活動が、他国との差別化になると思っています。あるいは、そこがこれからの日本のものづくりの生きる道でもあるでしょう。

 

次回に続きます。

 

 

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この記事の著者

清水 英範

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め...


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