ローギアとハイギアとデータ活用プロジェクト データ分析講座(その294)

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データ分析講座(その294)ローギアとハイギアとデータ活用プロジェクト

 

データサイエンスやデータ分析、機械学習など、データをビジネス活用する取り組みは、ここ10年増えてきています。達成したデータをビジネス活用する取り組みを、ここではデータ活用プロジェクトと呼びます。このデータ活用プロジェクトには、ハイギアで高速に進める場面と、ローギアでじっくり進める場面が存在します。すなわち、データ活用プロジェクトの状況に応じて、ローギアにしたり、ハイギアにしたりする必要があります。

 

例えば、プロジェクトの立ち上げ時、脳みそをフル回転させテーマ設定したり、現状整理したり、脳みそを高速回転させながらプロジェクトをじっくり進めます。いい感じに波に乗ってきたときは、脳みそをフル回転させるというよりも、回転数の割にプロジェクトはスピーディーに進みます。そして、プロジェクト中に問題が起こったときは、いい感じにプロジェクトが進んでいても、問題を確実に捉え対処するために、ギアを落とし脳みそを高速回転させ取り組みます。今回は「ローギアとハイギアとデータ活用プロジェクト」というお話しをします。

 

【目次】
1. ローギア
2. ハイギア
3. 使い分ける
4. ローギアの状態を楽しもう
5. 焦ってハイギアにしない方がいいし
6. ローギアにする勇気を持った方がいい

【この連載の前回:(その293)データ活用の成果にはタイムラグがある へのリンク】

◆データ分析講座の注目記事紹介

 

1. ローギア

車や自転車、釣り具のリールなどにローギアとハイギアというものがあります。ローギアは、動くスピードは遅いものの、弱い力で重いものを動かすことができます。そのため、車などを動かすとき、最初はローギアから入ります。しかし、ローギアは1回転で進む距離が短いため、スピードが出にくいです。

 

データ活用プロジェクトでは、脳みそを高速回転させながらプロジェクトをじっくり進める場面では、ローギアになります。例えば、データ活用プロジェクトの開始時です。プロジェクトの軌道が良くなるタイミングで、徐々に高いギアにチェンジしていくのがいいでしょう。

 

2. ハイギア

ローギアと対極にあるのが、ハイギアです。車などでは、既に動き出し、ある一定のスピードを出した時、ハイギアにします。ハイギアは、1回転で進む距離が長いため、スピードがどんどん加速され、いい感じのスピードにしてくれます。データ活用プロジェクトでは、いい感じになった場面で、ハイギアにし物事をスピーディに進めていきます。

 

スピードのあるハイギアですが、問題が起こった時など、ハイギアのままだと身動き取れなくなることがあります。問題を確実に捉え対処するため、ハイギアからローギアに落とし、脳みそを高速回転させじっくり対処します。

 

3. 使い分ける

データ活用プロジェクトの状況に応じて、ローギアにしたり、ハイギアにしたりする必要があります。車と同じで、データ活用プロジェクトの開始段階では、ローギアで脳みそを高速回転させ、プロジェクトを始動させます。かなり馬力が必要になるため、ローギアでないと動き出しませんが、徐々にギアを高いものに変換させながら、プロジェクトをいい感じにしていきます。そして、ハイギアの状態を保ちながらスピーディーに進めていきます。

 

しかし、プロジェクトは常に順調ではありません。問題に起こることも多いです。時には、立ち止まってじっくり対処すべき何かが起こることもあります。そのときには、ハイギアからローギアに変換し、じっくり対処したほうがいいでしょう。

 

4. ローギアの状態を楽しもう

順調な場面では、多くの場合はハイギアです。開始時や問題などが起こった時など、要は大変なときの多くはローギアです。高速回転させている割には、遅々として前進しません。そこで「このプロジェクト失敗だったのではないか」「やるべきでなかった」「考えるのが辛い」などネガティブになる人が少なくありません。

 

頑張りの割に、少しずつしか前に進まないからです。そもそも、ローギアとはそういうものだと認識しておくといいのではないかと思います。

 

5. 焦ってハイギアにしない方がいいし

焦って、ローギアからハイギアにすると、ろくなことになりません。ローギアとハイギアのある自転車を乗ったことがある人だと分かるかと思います。十分なスピードのでていない状態で、ローギアからハイギアにしたとき、ものすごくペダルが重くなる感覚を……、そしてローギアに戻すか、地に足がつくかどちらかでしょう。

 

地に足が付くという事は、もし自転車を動かそうとするのなら、その地点から自転車を動かす努力から始めるということです。データ分析プロジェクトも、焦ってハイギアにすると、似たようなことが起こります。すぐさまローギアに戻さないと、今までの努力の多くが水の泡で、ほぼスタートからやり直しになります。

 

6. ローギアにする勇気を持った方がいい

ハイギアの状態であっても、ローギアにすべきとき、即座にローギアに変換しないと、ろくなことになりません。ローギアとハイギアのある自転車を乗ったことがある人だと分かるかと思います。平地をハイギアで順調に走っているとき、急に上り坂になったとき、最初はいいものの途中からハイギアの状態では登れなくなることを……、そしてローギアに戻すか、地に足がつくかどちらかでしょう。

 

順調なハイギアから、苦労の割に物事が遅々として進まないローギアに変換させることは、とても勇気がいるものです。しかし、勇気をもって適切にローギアに変換させないと、データ活用プロジェクトそのものが頓挫すことがあります。

 

地に足がついたまま、自転車に乗ることを諦めるのです。最悪、坂道を背にして元のところまで歩いて戻っていってしますます。そのようなことが、データ活用プロジェクトにも多々見受けられます。

次回に続きます。

 

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データ分析講座(その294)ローギアとハイギアとデータ活用プロジェクト

 

データサイエンスやデータ分析、機械学習など、データをビジネス活用する取り組みは、ここ10年増えてきています。達成したデータをビジネス活用する取り組みを、ここではデータ活用プロジェクトと呼びます。このデータ活用プロジェクトには、ハイギアで高速に進める場面と、ローギアでじっくり進める場面が存在します。すなわち、データ活用プロジェクトの状況に応じて、ローギアにしたり、ハイギアにしたりする必要があります。

 

例えば、プロジェクトの立ち上げ時、脳みそをフル回転させテーマ設定したり、現状整理したり、脳みそを高速回転させながらプロジェクトをじっくり進めます。いい感じに波に乗ってきたときは、脳みそをフル回転させるというよりも、回転数の割にプロジェクトはスピーディーに進みます。そして、プロジェクト中に問題が起こったときは、いい感じにプロジェクトが進んでいても、問題を確実に捉え対処するために、ギアを落とし脳みそを高速回転させ取り組みます。今回は「ローギアとハイギアとデータ活用プロジェクト」というお話しをします。

 

【目次】
1. ローギア
2. ハイギア
3. 使い分ける
4. ローギアの状態を楽しもう
5. 焦ってハイギアにしない方がいいし
6. ローギアにする勇気を持った方がいい

【この連載の前回:(その293)データ活用の成果にはタイムラグがある へのリンク】

◆データ分析講座の注目記事紹介

 

1. ローギア

車や自転車、釣り具のリールなどにローギアとハイギアというものがあります。ローギアは、動くスピードは遅いものの、弱い力で重いものを動かすことができます。そのため、車などを動かすとき、最初はローギアから入ります。しかし、ローギアは1回転で進む距離が短いため、スピードが出にくいです。

 

データ活用プロジェクトでは、脳みそを高速回転させながらプロジェクトをじっくり進める場面では、ローギアになります。例えば、データ活用プロジェクトの開始時です。プロジェクトの軌道が良くなるタイミングで、徐々に高いギアにチェンジしていくのがいいでしょう。

 

2. ハイギア

ローギアと対極にあるのが、ハイギアです。車などでは、既に動き出し、ある一定のスピードを出した時、ハイギアにします。ハイギアは、1回転で進む距離が長いため、スピードがどんどん加速され、いい感じのスピードにしてくれます。データ活用プロジェクトでは、いい感じになった場面で、ハイギアにし物事をスピーディに進めていきます。

 

スピードのあるハイギアですが、問題が起こった時など、ハイギアのままだと身動き取れなくなることがあります。問題を確実に捉え対処するため、ハイギアからローギアに落とし、脳みそを高速回転させじっくり対処します。

 

3. 使い分ける

データ活用プロジェクトの状況に応じて、ローギアにしたり、ハイギアにしたりする必要があります。車と同じで、データ活用プロジェクトの開始段階では、ローギアで脳みそを高速回転させ、プロジェクトを始動させます。かなり馬力が必要になるため、ローギアでないと動き出しませんが、徐々にギアを高いものに変換させながら、プロジェクトをいい感じにしていきます。そして、ハイギアの状態を保ちながらスピーディーに進めていきます。

 

しかし、プロジェクトは常に順調ではありません。問題に起こることも多いです。時には、立ち止まってじっくり対処すべき何かが起こることもあります。そのときには、ハイギアからローギアに変換し、じっくり対処したほうがいいでしょう。

 

4. ローギアの状態を楽しもう

順調な場面では、多くの場合はハイギアです。開始時や問題などが起こった時など、要は大変なときの多くはローギアです。高速回転させている割には、遅々として前進しません。そこで「このプロジェクト失敗だったのではないか」「やるべきでなかった」「考えるのが辛い」などネガティブになる人が少なくありません。

 

頑張りの割に、少しずつしか前に進まないからです。そもそも、ローギアとはそういうものだと認識しておくといいのではないかと思います。

 

5. 焦ってハイギアにしない方がいいし

焦って、ローギアからハイギアにすると、ろくなことになりません。ローギアとハイギアのある自転車を乗ったことがある人だと分かるかと思います。十分なスピードのでていない状態で、ローギアからハイギアにしたとき、ものすごくペダルが重くなる感覚を……、そしてローギアに戻すか、地に足がつくかどちらかでしょう。

 

地に足が付くという事は、もし自転車を動かそうとするのなら、その地点から自転車を動かす努力から始めるということです。データ分析プロジェクトも、焦ってハイギアにすると、似たようなことが起こります。すぐさまローギアに戻さないと、今までの努力の多くが水の泡で、ほぼスタートからやり直しになります。

 

6. ローギアにする勇気を持った方がいい

ハイギアの状態であっても、ローギアにすべきとき、即座にローギアに変換しないと、ろくなことになりません。ローギアとハイギアのある自転車を乗ったことがある人だと分かるかと思います。平地をハイギアで順調に走っているとき、急に上り坂になったとき、最初はいいものの途中からハイギアの状態では登れなくなることを……、そしてローギアに戻すか、地に足がつくかどちらかでしょう。

 

順調なハイギアから、苦労の割に物事が遅々として進まないローギアに変換させることは、とても勇気がいるものです。しかし、勇気をもって適切にローギアに変換させないと、データ活用プロジェクトそのものが頓挫すことがあります。

 

地に足がついたまま、自転車に乗ることを諦めるのです。最悪、坂道を背にして元のところまで歩いて戻っていってしますます。そのようなことが、データ活用プロジェクトにも多々見受けられます。

次回に続きます。

 

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この記事の著者

高橋 威知郎

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)

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