データ活用が上手くいっていないと感じたら データ分析講座(その283)

投稿日

データ分析

 

データを集めビジネスに活用しようとチャレンジしたときに陥る状況が次です。

  • 「見える化」したのに、収益が上向いた感があまりない 
  • 分析しても分析しているだけで、成果が生まれるイメージが湧かない 
  • 高精度のモデルを構築したのに、なぜか現場で活用されない 
  • そもそも、溜めたデータをどう活用すればいいのか分からない

 

共通するのは、データ活用が上手くいっていないということです。では、データ活用が上手くいっていないと感じたら、どうすればいいのでしょうか。突破の方法は色々あります。その1つが、インフォメーションとインテリジェンスの違いを意識する、ということです。今回は「データ活用が上手くいっていないと感じたら」というお話しをします。

 

【目次】
1. 記録された情報はすべてデータ
2. インフォメーションとインテリジェンス
3. データをインテリジェンス化する
4. インテリジェンス化への執念
5. 人によってインテリジェンスが異なる
6. 結局のところ現場

 

【この連載の前回:(その282)ビジネス インテリジェンス ツールへのリンク】

◆【特集】 連載記事紹介:連載記事のタイトルをまとめて紹介、各タイトルから詳細解説に直リンク!!

◆データ分析講座の注目記事紹介

 

1. 記録された情報はすべてデータ

あなたは「データ」と聞いたとき、どのようなデータを思い浮かべるでしょうか。

例えば……

  • センサーから生み出されるデータ(ローデータとも言われる)
  • アンケートの回答データ(ローデータとも言われる)
  • ローデータを加工しデータベースに格納したデータ
  • そのデータを集計した結果(集計データとも言われる)
  • 様々な分析技術を駆使し導き出した分析結果や予測結果
  • その分析結果や予測結果などをもとにしたレコメンドや提言(多くの場合、テキストデータ)

……など。

 

データと聞いたとき、データの発生源から生み出されたローデータをイメージする人もいれば、ローデータを綺麗に加工しデータベースに格納したデータテーブルをイメージする人もいます。さらに、集計結果や分析結果、予測結果などもデータです。それらをもとにしたレコメンドや提言も、テキスト(文章)で表現されたものもデータです。記録された情報はすべてデータです。数字である必要もありませんし、文字でも画像でも音声でも構いません。すべてデータです。

 

2. インフォメーションとインテリジェンス

このようなデータには、アクションに直接結びつけられるかどうかで、次の2つの状態があります。

  • インフォメーション
  • インテリジェンス

どちらも日本語では「情報」と翻訳されます。しかし、データ活用上は大きく意味が異なり、次のようになります。

  • インフォメーションは、見ただけではアクションを起こすことが「できない」データ
  • インテリジェンスは、見ただけでアクションを起こすことが「できる」データ

この違いは、データをビジネスで活用する上で、強く意識しておいた方が良いでしょう。

 

3. データをインテリジェンス化する

集めたデータやその集計結果などは、通常は「インフォメーション」に過ぎません。見ただけではアクションを起こすことが、通常はできないからです。もちろん、センスのいい方は、集めたデータを見ただけで何をすべきか悟ることができるかもしれませんが、通常はできません。そのため、データをインテリジェンス化する必要があります。それがデータ分析技術です。

 

つまり、データ分析は「集めたデータ(インフォメーション)」を加工・分析・統合・表現・伝達し「アクションに結びつくデータ(インテリジェンス)」を生み出す技術なのです。少なくとも、集めた「インフォメーション」から新たな「インフォメーション」を作る技術ではありません。このことは非常に重要です。

 

4. インテリジェンス化への執念

集めたデータを「インテリジェンス」になるまでデータ分析をしなければ、アクションは起こりません。当然ながら、アクションが起こらなければ、何も変わらないので、その先のビジネス成果(売上アップやコストダウン、利益率向上など)もありません。つまり、データ活用でビジネス成果(売上アップやコストダウン、利益率向上など)をもたらすには、インフォメーションをインテリジェンス化する必要があるのです。

 

そのため、データ分析担当者は「インテリジェンス」を生み出すまでとことんやり抜くという執念が求められます。

 

5. 人によってインテリジェンスが異なる

厄介なことに人によってインテリジェンスは異なります。同じ人でも、状況によって異なってきます。ある人にとってインテリジェンス(アクションに結びつくデータ)であっても、他の人にとってはインフォメー...

データ分析

 

データを集めビジネスに活用しようとチャレンジしたときに陥る状況が次です。

  • 「見える化」したのに、収益が上向いた感があまりない 
  • 分析しても分析しているだけで、成果が生まれるイメージが湧かない 
  • 高精度のモデルを構築したのに、なぜか現場で活用されない 
  • そもそも、溜めたデータをどう活用すればいいのか分からない

 

共通するのは、データ活用が上手くいっていないということです。では、データ活用が上手くいっていないと感じたら、どうすればいいのでしょうか。突破の方法は色々あります。その1つが、インフォメーションとインテリジェンスの違いを意識する、ということです。今回は「データ活用が上手くいっていないと感じたら」というお話しをします。

 

【目次】
1. 記録された情報はすべてデータ
2. インフォメーションとインテリジェンス
3. データをインテリジェンス化する
4. インテリジェンス化への執念
5. 人によってインテリジェンスが異なる
6. 結局のところ現場

 

【この連載の前回:(その282)ビジネス インテリジェンス ツールへのリンク】

◆【特集】 連載記事紹介:連載記事のタイトルをまとめて紹介、各タイトルから詳細解説に直リンク!!

◆データ分析講座の注目記事紹介

 

1. 記録された情報はすべてデータ

あなたは「データ」と聞いたとき、どのようなデータを思い浮かべるでしょうか。

例えば……

  • センサーから生み出されるデータ(ローデータとも言われる)
  • アンケートの回答データ(ローデータとも言われる)
  • ローデータを加工しデータベースに格納したデータ
  • そのデータを集計した結果(集計データとも言われる)
  • 様々な分析技術を駆使し導き出した分析結果や予測結果
  • その分析結果や予測結果などをもとにしたレコメンドや提言(多くの場合、テキストデータ)

……など。

 

データと聞いたとき、データの発生源から生み出されたローデータをイメージする人もいれば、ローデータを綺麗に加工しデータベースに格納したデータテーブルをイメージする人もいます。さらに、集計結果や分析結果、予測結果などもデータです。それらをもとにしたレコメンドや提言も、テキスト(文章)で表現されたものもデータです。記録された情報はすべてデータです。数字である必要もありませんし、文字でも画像でも音声でも構いません。すべてデータです。

 

2. インフォメーションとインテリジェンス

このようなデータには、アクションに直接結びつけられるかどうかで、次の2つの状態があります。

  • インフォメーション
  • インテリジェンス

どちらも日本語では「情報」と翻訳されます。しかし、データ活用上は大きく意味が異なり、次のようになります。

  • インフォメーションは、見ただけではアクションを起こすことが「できない」データ
  • インテリジェンスは、見ただけでアクションを起こすことが「できる」データ

この違いは、データをビジネスで活用する上で、強く意識しておいた方が良いでしょう。

 

3. データをインテリジェンス化する

集めたデータやその集計結果などは、通常は「インフォメーション」に過ぎません。見ただけではアクションを起こすことが、通常はできないからです。もちろん、センスのいい方は、集めたデータを見ただけで何をすべきか悟ることができるかもしれませんが、通常はできません。そのため、データをインテリジェンス化する必要があります。それがデータ分析技術です。

 

つまり、データ分析は「集めたデータ(インフォメーション)」を加工・分析・統合・表現・伝達し「アクションに結びつくデータ(インテリジェンス)」を生み出す技術なのです。少なくとも、集めた「インフォメーション」から新たな「インフォメーション」を作る技術ではありません。このことは非常に重要です。

 

4. インテリジェンス化への執念

集めたデータを「インテリジェンス」になるまでデータ分析をしなければ、アクションは起こりません。当然ながら、アクションが起こらなければ、何も変わらないので、その先のビジネス成果(売上アップやコストダウン、利益率向上など)もありません。つまり、データ活用でビジネス成果(売上アップやコストダウン、利益率向上など)をもたらすには、インフォメーションをインテリジェンス化する必要があるのです。

 

そのため、データ分析担当者は「インテリジェンス」を生み出すまでとことんやり抜くという執念が求められます。

 

5. 人によってインテリジェンスが異なる

厄介なことに人によってインテリジェンスは異なります。同じ人でも、状況によって異なってきます。ある人にとってインテリジェンス(アクションに結びつくデータ)であっても、他の人にとってはインフォメーション(アクションに結びつけられないデータ)に過ぎない場合が多々あります。そのため、どのような分析結果などがインテリジェンスなのかを定義しないと、どのようなデータ分析をすればいいのかが、実は分かりません。

 

6. 結局のところ現場

どのような分析結果がインテリジェンスなのかを定義するためには、活用する現場にとってのインテリジェンスとは何かを知る必要があります。データ分析担当者だけで、データを集計したり分析したり、予測モデルや異常検知モデルを構築しても、それはインテリジェンスでない可能性があるということです。分析結果をアクションに結びつけられるかどうかは、アクションを実施する人や状況などに依存するのです。

 

データ分析担当者は、状況や組織などの違いなどに応じて、アクションをする人にとってどのようなインテリジェンスが必要かを考えなければならないのです。

 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

高橋 威知郎

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)


「情報マネジメント一般」の他のキーワード解説記事

もっと見る
顧客のチャーン予測(離反予測) データ分析講座(その250)

  よくあるデータ活用のテーマの1つに、顧客のチャーン予測(離反予測)というものがあり、離反率をはじき出すことができます。離反率は、顧客満...

  よくあるデータ活用のテーマの1つに、顧客のチャーン予測(離反予測)というものがあり、離反率をはじき出すことができます。離反率は、顧客満...


合成データとは、そのメリットや注意点:データ分析講座(その327)

  AI活用の前に立ちはだかる壁の1つが、AIを構成する機械学習モデル(数理モデル)を作るためのデータ不足です。データの量や質が不十分だと...

  AI活用の前に立ちはだかる壁の1つが、AIを構成する機械学習モデル(数理モデル)を作るためのデータ不足です。データの量や質が不十分だと...


ビジネス インテリジェンス ツール データ分析講座(その282)

  私は仕事柄、幸運にもあるものを見せられることが度々あります。ある人は自慢げに、ある人は不安げにあるものを見せて語ってくれます。そのある...

  私は仕事柄、幸運にもあるものを見せられることが度々あります。ある人は自慢げに、ある人は不安げにあるものを見せて語ってくれます。そのある...


「情報マネジメント一般」の活用事例

もっと見る
Web上で試作受注するツールを成功させるポイントとは

        今回は、「Web上で試作受注するツール」を成功させるポイントについて解説します。次の2点がポイントで、この2つを「最優先」に考える必...

        今回は、「Web上で試作受注するツール」を成功させるポイントについて解説します。次の2点がポイントで、この2つを「最優先」に考える必...


生産スピード向上と品質管理

 電子メールやインターネットの普及により、ビジネスのグローバル化が大きく進みましたが、IT技術の進歩は、品質管理の方法も進歩させました。20数年前は製造条...

 電子メールやインターネットの普及により、ビジネスのグローバル化が大きく進みましたが、IT技術の進歩は、品質管理の方法も進歩させました。20数年前は製造条...


人的資源マネジメント:製品開発の滞留を引き起こすファイルとは(その2)

 今回は、PDM/PLMに代表される製品開発業務のIT化をどのように考え、進めるのがよいのかについて解説します。    前回まで続けていたテ...

 今回は、PDM/PLMに代表される製品開発業務のIT化をどのように考え、進めるのがよいのかについて解説します。    前回まで続けていたテ...