◆ データ分析・活用で生まれる売上変動とコスト変動
「ビジネスでデータを活用するぞ!」となった時、売上アップやコストダウンなどの利益アップを考えがちです。これらが起こらないようなデータ活用であれば、ビジネスでは使いものになりません。
なぜならデータを活用すればするほど、売り上げが下がったり、コストが上がるようでは嬉(うれ)しくないからです。しかし、データを活用することでこのような事はよくあります。今回は「データ分析・活用で生まれる売上変動とコスト変動」というお話しをします。
1、売り上げダウンやコストアップも想定
データ分析・活用を実践する時、売上アップだけでなくその逆も起こり得ます。コストに関しても同様な事が起こり得ます。要するに、データ分析をビジネスに活用すればするほど、利益を小さくする何かが起こる可能性があります。
例えば、データを分析した事のない部署で分析を始めれば、分析のための工数が発生し、それだけコストアップします。データ分析基盤を整えれば、導入コストや運用コストが発生します。このように、それなりのコストが発生するのです。
(1) コストは至る所で発生する
データ分析・活用の成果は「Outcome」で生まれます。しかしコストは至る所で発生します。先ほど挙げたデータ分析・活用に伴い発生する工数は、その典型例です。さらに、最近流行りのBI(ビジネスインテリジェンス)ツールを導入すれば、そのツール代と、ツールの面倒をみる人の工数も発生しますが、工数コストが意外と無視されます。
(2) 無視される工数コスト
人を増やさずにデータ分析・活用を実施する際、工数コストがよく無視されます。誰かが辛い思いをした上で実現するデータ分析・活用は、無理が発生し、結果的に続きません。その典型例が、その辛い思いをしていた人がいなくなり(転職や異動など)、データ分析・活用が思うように進まなくなるケースです。昔はこのようなことがよくありました。今現在はどうでしょうか。
(3) 売り上げがダウンすることもある
データ分析・活用で効率化し、利益がアップしたり利益率が改善したりした場合、その代償として何かしらの売り上げがダウンすることがあります。例えば利益率の悪いある商材の販売を縮小すれば、その商材の売り上げはダウンします。利益の小さいエリアから撤退すれば、そのエリアの売り上げはダウンします。
このように、売上アップやコストダウンという魅力的な面だけでなく、売上ダウンやコストアップといった利益を悪化させる面も考えていく必要があります。
2、4つの金額
データ分析・活用の成果を金額換算する時は、次の4つの金額を見積もることが多いようです。
【売上変動】
- プラスの売上変動(売上アップ)
- マイナスの売上変動(売上ダウン)
【コスト変動】
- プラスのコスト変動(コストアップ)
- マイナスのコスト変動(コストダウン)
データ分析・活用を実践する時、売上アップやコストダウンなど利益アップを目指すケースが多いと思います。しかし現実は、先ほど挙げたような副作用が伴います。売上ダウンやコストアップなどによる利益ダウンです。それが、マイナスの売上変動(売上ダウン)とプラスのコスト変動(コストアップ)です。
3、利益ダウンの背景をしっかり探る
データ分析・活用を実践する時、売上アップやコストダウンなど利益アップにばかり目が行きがちですが、実際はマイナスの売上変動とプラスのコスト変動が起こるということは、先ほどもお話しました。
そこを無視すると、売上アップやコストダウンが実現しているのに、財務諸表を眺めてみると、営業利益も事業貢献利益も全く変動なし、という感じのことが起こります。データ分析・活用に伴い起こる、...
マイナスの売上変動とプラスのコスト変動を無視しているからです。先ほど挙げた4つの金額をしっかり考え、データ分析・活用の成果を考えていきましょう。
4、今回のまとめ:売り上げとコスト変動に注視
今回は「データ分析・活用で生まれる売上変動とコスト変動」というお話しをしました。データ分析・活用を実践する時、売上アップやコストダウンなど利益アップを目指すケースが多いと思います。しかし、現実は副作用が伴い、逆に売上ダウンやコストアップなどによる利益ダウンが、ある程度起こります。
マイナスの売上変動とプラスのコスト変動を無視すると、データ分析・活用で売上アップやコストダウンが実現しているのに財務諸表上、嬉しい変化がみられないことがあります。
そのため、データ分析・活用の成果を考える時は、売上ダウンとコストアップに繋がってしまった背景もしっかり考えましょう。